■VOL・122  駒ケ岳   
2007/10

諏訪湖 ワークショップ 風炎テント

「八ヶ岳クラフトフェア」

長野県の八ヶ岳クラフトフェアに初参加したのは3年前・・・
台風余波の残る野外会場での、準備撤収はサバイバルな体験・・・
ヌカルミでのイベントはもうコリゴリ・・・

中年の体力と気力の限界を悟った、あの日の記憶が甦るのだ!


されど・・・

近年、「太田川クラフトフェスタ」の運営がライフワークとなっておりますもので、
先進地の視察の意味もあって、年一回くらいは関東のクラフトイベントに参加してもいいかと思い始め、
アチコチの情報を集めておりました。

結構、出展希望者数が増加しており、中でも陶芸ジャンルは激戦区で、審査を通る確立は30%くらい・・・
出展者探しに奔放する「太田川クラフトフェスタ」とはエライ違いなのであります。


悩むよりも行動・・・

三ヶ所に応募してみましたところ「八ヶ岳クラフトフェア」の合格通知が届き、通読しますと、
今回からは観光客の多い諏訪湖畔に会場を移し、動員アップを画策するらしい。

天気予報は2日目が雨模様らしく、サバイバルな記憶が甦りながらも、風炎ワゴンは出発・・・
10時間の高速運転はチト疲れました。

諏訪湖畔は観光ホテルが乱立しておりますが、時代おくれの印象があり、
温泉や、フランス座や、スナック等があり、団体旅行のオヤジ達の欲望のカホリが漂う・・・
クラフトイベントとは似合わない風情でした。


設営開始・・・

朝5:30に受付を済ませ、現場に着きますと、
会場の石彫公園は土手に囲まれており、駐車場が遠く、100mはありそう・・・

テント・コンパネ4枚・作品20カゴ・他備品を車から降ろし、土手の上は台車で運び、芝生の上は手運び・・・
結構な重労働で、風炎カ〜サンの手伝いがないと無理でした。


運営は、地元のLCVというケーブルテレビ会社ですので、
会場風景が諏訪地区へ生放送がされました。

場内アナウンスでは、遠方からの出展者に細かな配慮・・・

「今年は、八ヶ岳山麓から、公共交通の便利な諏訪湖に会場を移しました。」
「北は北海道、南は広島まで、全国から230名のクラフトマンが集まってくださり、大変ご苦労様です。」
「お客様におかれましては、ゆっくりご覧くださり、是非お買い求めください。」


う〜ん!

「太田川クラフトフェスタ」の会場内で、同じようなアナウンスをイメ〜ジしてみましたが、
モノツクリの歴史だの、都会と田舎だの、共生だの、連帯だの、クサイ屁理屈を乱発しそうな気がする。

ウグイス嬢を雇う金もなし・・・


見渡せば・・・

遠くに観光スワン船が見え、石やブロンズの彫刻が野外展示された芝公園の、ノドカな会場風景。

陶・木・染・鉄・ガラスと、たくさんのジャンルの作家が出展されており、長野県在住者が一番多く、
クラフトの盛んな土地柄の様子・・・

大道芸のパフォーマンスやクラフト体験のワークショップは、クラフトイベントには付物のようで、
それなりに繁盛していました。


振り向けば・・・

太田川の上流の安芸太田町は、それなりにノドカな風景ですが、クラフトマンは少数・・・

大道芸は神楽で、
ワークショップは、行政ガラミの「太田川清流塾」があるにはあるのですが、
ヤヤコシイ運営となっておりますので、絡むとヤヤコシイ状況になりそう・・・


見上げれば・・・・・・

1日目は晴天でしたが、2日目は朝から結構な風雨・・・
どうも信州に来ると天候が悪い感じなのです。

それでも再会の御客様や、広島からのお客様3名と出会いました。


撤収開始・・・

関東では、200工房規模のクラフトイベントが毎週のようにあり、
当然、雨天もしょっちゅうであり、皆さん手馴れて逞しい・・・

2日間の動員は、主催者発表で18000人でしたが、どうも購買意欲が低い・・・
「太田川クラフトフェスタ」の規模は、こちらの1/10なのですが、購買意欲はチト高い・・・
工房単位での売上は、規模ほどの差がないように感じられました。

完了のち、夜逃げのように上田市に向かい、
「太田川クラフトフェスタ」でお馴染みの「さとう工房」にお邪魔いたしました。


再会・・・

高速道を10時間以上もかけて、これまで3回も広島に来てくださった事に御礼を申し、
掘りコタツで信州独特の甘い梅干と、チベット土産の苦い御茶を頂きました。

現在、彼は「上田城」の改修の仕事が入り、400年前の鉄金具の修復に忙しく、
中国山地のタタラ製鉄との関わりもありそう・・・
昔の鉄は錆びにくいそうで、現物を触らせていただきました。

彼は、来年の「太田川クラフトフェスタ」への参加は1回休みです。


駒ヶ池 こまくさ橋 駒ヶ根ファーム

「くらふてぃあ・杜の市」

出展者の間で一番評価の高いクラフトイベントが、駒ヶ根市で開催されております。

6月初旬の開催で、「太田川クラフトフェスタ」と同じ会期ですので、
風炎窯が出展できる可能性は極めて低いのですが、現場視察しました。


会場の駒ヶ根ファーム周辺は、国交省河川事務所の管轄のようで、
流れる「太田切川」は豊かな水量で、山の保水を考えさせられる資料館もありました。

遥か遠くに「駒ケ岳」が見える絶好のロケーションは、
クラフトの存在意義とも重なり、癒しの空間が広がる・・・

クラフトマンと住民による実行委員会の運営も、参考になるものでした。


会場までのアクセスは、中央道の駒ヶ根ICが近く、JRやバス等の公共交通も大変便利で、
飲食店&HOTEL&美術館&駐車場&観光案内が整備されており、
普段から賑やかな観光地でした。

長野県は、東京・名古屋と大消費地を抱えており、高速道で2時間程度の距離・・・
人柄も親切な方が多いように感じました。


振り向けば・・・

広島県の自然はそれなりですし、広島市は文化と財政基盤の弱い政令指定都市であり、
残念ながら、大きなクラフトイベントは育っておりません。

安芸太田町の公共交通は脆弱で、限界集落もチラホラ・・・
臨時の周遊バスすら悪戦苦闘・・・

土地柄というものは根深いものでがんす!


う〜ん!

「太田川クラフトフェスタ」の将来は、土地に合った適正規模を探りつつ、
川をテーマとした連帯や、複数会場の展開で、立派な屁理屈を放つしかありまへん!

クラフトマンのネットワークによる運営や、JAPANの歪をからめて社会性を出せば、
それなりの存在感は出せるかも・・・

出展者と動員と売上のバランスが難しいのは確かでおます!


バス 南アルプス

「駒ケ岳」

標高2931m

山頂付近まで登れるロープウェーがあるそうで、
駅までの道はマイカー規制され、バス便で行くしかなく、片道約50分で往復料金¥3,800なり。

山頂は珍しく快晴だそうで、紅葉のベストシーズンとか・・・


臨時バス

アンデスのマチュピチュのようなジグザグの細い林道を登る・・・
ヘアピンカーブの内輪差はギリギリで、スリリングな体験・・・
離合ポイントは数ヶ所しかなく、他のバスと無線連絡しながら、待機・・・

ドライバーの運転テクニックと、臨機応変な離合には関心いたしました。


ロープウェー

定員61人満員の臨時便で、7分で約1000mの高低差を一気に上がる・・・
急斜面を流れ落ちる滝・・・
遠くに富士山も見える南アルプスの大パノラマ・・・

空中から見える手付かずの大自然に、ブチクソ感動いたしました。

駅の改札をくぐって野外に出ると、鮮やかな紅葉に抱かれた「剣が峰」と「千畳敷カール」が広がる・・・
言葉にならない山岳風景を貴方に捧げます。


● スライドショーOPEN!


覚醒!

クルマも、飛行機も、スペースシャトルも・・・
ラジオも、テレビも、インターネットも・・・

人間が煩悩のカタマリで作ったものは、
自然の摂理と、雄大な時の流れの中では、小さな存在であり、
手付かずの山に抱かれておりますと、癒しを越えて謙虚な気持になるものですね。

山への信仰心が芽生え、万物に優しくなれるのは不思議なものだす!


う〜ん!

登山家が汗してやっと体験できる風景を、文明の力で、ラクチン観光したのですが、
それなりの感動がありました。

煩悩のカタマリで、ロクロを回し・・・
煩悩のカタマリで、行商の旅に出て・・・
煩悩のカタマリで、イベント運営を続ける・・・

煩悩を越えて、雄大な自然の摂理と融合した時、掌ほどの幸せに気が付きました。

合掌


PS

10年以上前・・・

風炎窯のお客さんで、何度もエベレストを制覇した広島山岳会の幹部の方がおられますが、
その方の友人が工房に来られた数日後に、鳥取県の大山で滑落死されました。

厳しい登山の現場は、登頂の達成感や、美しい風景を楽しむ余裕はないそうで、
下山途中で事故に遭う可能性が高く、感情を越えた冷静な判断が必要となる。

それでも懲りずに登る気持は、解るには解るのですが、死にたくはありまへん!


クラフトフェア会場でよくある会話・・・

「魚ぎょギョ!」「楽しい作品で、楽しんで仕事をしてますね!」「楽しそうで羨ましい!」
風炎作品は道化師のように楽しく演じておりますが、裏方はそれなりに厳しい・・・

中途半端な陶芸家は、
中年あたりから下り坂にさしかかり、次に上ってくる人のために道標を残すのが役目・・・
まだ、やらねばならぬ事があるのだ!

今のところ、煩悩のカタマリで生きてゆくしかありまへん!

合掌






 Back      Top