■VOL・109  再再来祭   
2005/9

再再来祭 石見神楽 テント村

広島県北西部にある安芸太田町は、
旧加計町・戸河内町・筒賀村が合併して、昨年11月に誕生しましたが、
人口は9000人足らずで、過疎化・高齢化・JRの撤退と、地方の歪が顕著であります。

新町長の誕生、議員定数の削減、役場の配置変え・・・
それなりに変革が進んでおりますが、住民レベルの交流が盛んとはいえまへん!

中国山地の豊かな木材と、太田川の水運と、山陰山陽の中継地として栄えた歴史があり、
張り合って生きてきたのですから、スグ仲良しにはなれませんが、先が楽しみではあります。


ド〜ン! バチバチパチ・・・

8月6日(土)am11:00 戸河内ふれあいセンターで「再再来祭」という夏祭がスタートしました。

この地方で盛んな石見神楽は、派手で躍動的ですが、出雲文化の影響が色濃く、
地域の祭やイベントには欠かせないもので、舞台の華であり、盛んに舞われております。

「太田川クラフトフェスタ」でお世話になっております「戸河内手仕事村」のテント村があり、
風炎窯も初参加させて頂きましたが、親睦を深めるのが最大の目的でがんす!

農林業しかない中間山地ですが、木工芸は古くから盛んで、
シャモジ・オタマ・寿司鉢などの産地であり、細々と伝統技術が継承されており、
無骨な実用品としての風格は、再認識されるべきものであります。


振り向けば・・・

広島県は、陶器が盛んな土地柄ではなく、窯元は少ない・・・
ツブれそうでツブれない、川辺の風炎窯はアヤシイ存在であり、巨漢のオヤジは無骨者・・・
これまで、地域イベントへの参加は、積極的ではありませんでした。

平成2年に風炎窯が誕生し、早いもので15年になりますが、
当初は、役場や商工会や観光協会の会議にお誘い頂き、数回は出席させて頂きました。

沖縄カブレの若い陶芸家には、消化試合のような退屈な内容と、狭い価値観には閉口・・・
何より、製作と、展示会という行商の旅で忙しく、会議はそれっきり・・・
今でも、地域から見れば、アヤシイよそ者である事には変わりありまへん!

されど、ここ最近、地域との関わりがチト増えてきたのであります。


「太田川みこし連」

会費なし! 役職なし! 参加撤退自由! 言いたい事を言っても責任なし! 資金なし!
アメーバのような変幻自在のヨロズ組織でがんす!

広島YMCAから出向された、川森文化交流センターの局長が旗元の住民グループであり、
無責任な夢物語を語っているのですが、夢のない所にはカタチが芽生えないのも事実でがんす!

川森での毎月の会合や、大山奥にあるホビーフィールドで、夜な夜なモノズキが集まって何かやっている・・・
太田川流域という視野にたち、行政枠を越えた活動は独特の存在感があり、
古い枠組みに固執する方からすれば、困った存在だす!


旧戸河内町の伝統のある夏まつり「再再来祭」に、屋台舟の参加を決めたのが、7月初旬・・・
現状では、旧加計町のメンバーが多く、旧戸河内町からすればアヤシイよそ者集団に見えるのも事実・・・
準備時間が無いのですが、ボンビー組織にとって20万の参加助成金は魅力的・・・

よ〜し!

参加する事で、地域のシガラミの解体を、旧戸河内町民に激しくアッピ〜ルするのだ!

骨組み 和紙 仕上げ

「どれ位出来た?」「これくらい・・・」

7月25日の集まりで見せられた携帯画像は、四角い骨組みだけで、先の見えないヤバイ状況・・・


「図面は?」「道具は?」「行き当たりばったり・・・」

仕方なく、ドリルやら、ビスやら、ペンチやら、ボンドやら、角材やら、パラフィンやら、発電機やら、
毎夜のように、大山奥のホビーフィールドの作業倉庫を目指し、風炎ワゴンで細い林道を上る。


「間に合うか?」「わかりまへん・・・」

看板屋さんとか、電気屋さんとか、木工家さんとか、土建屋さんとか、公務員とか、
入れ替わり立代わり手伝ってくださる方が現れ、一番役立たずが中途半端な陶芸家となる。

イベントは、観るのも楽しいものですが、準備段階から参加するのも楽しいもので、
この年で、大学の文化祭のような楽しい体験をさせて頂き、祭の意味を再考させられました。


計画したり、準備をしたり、参加したり、楽しみにしたり・・・ 夢みる事は、生きる励みでがんす!
娯楽の少ない昔なら、なおさら意義深い・・・

共同でのモノツクリは、不思議な連帯感が芽生え・・・
夜な夜な、眠い眼をこすりながら・・・
地域のシガラミ解体という目的があれば、なおさら燃え上がり・・・

よくもまあ〜 2週間で完成したものでがんす!


8月3日の和紙を張った段階でどうにか目途がたち、中国新聞の取材があり、
紙面で「カエルみこし」が広島県内に激しくアッピ〜ルされたのだ!

シメシメ・・・

勢いに乗って、本番を迎えるのだ!

運搬 出陣 合戦

いよいよ、本番当日・・・

ホビーフィールドから旧戸河内町の会場まで結構な距離があり、
太田川に沿って走るR191はカーブが多く、トラックに載せられて走る姿は滑稽・・・

会場脇の路上で、垂木の台座を組み、青竹を組み、発電機を載せる・・・
夕立がありましたので防水スプレーを吹きかけ、シートを被せる・・・
時間ギリギリまで慌しい・・・

何より、困った事に、担ぎ手が全然足りまへん!
会場で見つけた、知人にお願いしまくり、カキ集め、練習なしで出陣いたしました。


土建屋さんグループの屋台舟は、大きくて、パワフルで、派手な揃いのハッピで、大人数で、ご立派!
子供会の宇宙戦艦ヤマトは精密でカッコイイ!
屋台舟の合戦があるらしく、多少のぶつけ合いもOKとかで怖い挑発!

カエルはスリ抜け、儚く逃げ惑うばかり・・・


何故なら・・・ 前夜まで汗して製作に励み、やっと完成したのが当日の会場であり、
誕生日に昇天するのは、あまりにも哀れでがんす!

決して、相手が怖い弱虫ではありまへん!


胴体の蛍光灯と、目玉と舌の白熱灯を切り替える演出は、故障にしか見えない・・・
和紙のハリボテは、強度不足で、スグ破れそう・・・
掛け声も、足並みも、微妙に合ってない・・・

カエルはスリ抜け、儚く逃げ惑うばかり・・・


夏祭り独特の雰囲気の中で、奮闘するカエルの姿は、
製作に関わった身としては、感情移入で、けな気で、ウルルンでがんす!

担ぎ手にも、連帯感が芽生えてきたのは言うまでもなく、
カエルはスリ抜け、勝敗のない合戦が終わり、ひっくりカエル事なく、どうにか無事カエル・・・


ドド〜ン! バチバチパチ・・・

見上げれば、フィナーレを飾る打上花火は、乱発しても何処か儚く、祭の後とは淋しいものですね。


思うに・・・

「再再来祭」は、今年で15回目で、風炎窯と同じ歴史でがんす!

旧戸河内町のメインイベントで、
ステージ、司会、照明、アトラクション、歌手、オークション、ビンゴ、神楽、田楽、テント村、打上花火・・・
田舎にしては豪華な内容で、予算のテンコモリだす!

地域の寄付もかなり集まるそうですが・・・
例の一億円のバラマキ予算を、取り崩しながら続けているのが実情で、4〜5百万が一日で消える・・・
そのタレナガシ予算も枯渇したそうで、来年からのカタチは見えておりまへん!


当初は、各地区からの屋台舟の参加も多かったらしいですが、
年々減少して、今年はワシラを含め4漕だけで、動員も経済効果も減少傾向とか・・・

屋台舟を作る事で、地域の連帯が芽生えたのなら、一億円の価値があるのかもしれませんが、
15回も回を重ねると、疲れが溜まる・・・

屋台舟というモノツクリも、最初はオモシロイが、毎年の義務となればナカナカ苦しく、
高齢化で住民パワーは低下するばかり・・・

「サイサイキンサイ」と言われても、内容がマンネリでは、飽きられてしまいます。


初参加ながら、継続する事の難しさが見え隠れしており、
行政主導のイベントは補助金のタレナガシで、何が成功で、何が失敗かワケワカラン・・・
それなりの人が集まり、事故なく終了すれば、大成功という事になるのでしょうね。


6月に開催された、「太田川クラフトフェスタ」は、行政の補助金はありまへん!

個人の出展料と、企業協賛と、ボランティアで、赤と黒の水平線に浮かんでいるのが実情ですが、
多少でも黒になりませんと、継続は困難であります。

それでも何とかカタチになりつつあり、
お金をかけず工夫して、無理なく継続できるシステムを模索中でがんす!


ドドド〜ン! バチバチパチ・・・

夏の夜空に散った、70万円の打上花火を想い出しながら・・・
新たな地平線を見つめております。


PS

JAPANは過渡期でがんす!

今回の衆院選挙は以前にも増して劇場型と言われ、
新聞やワイドショーで舞台裏を見つめるのが、人の心理でがんす!

「再再来祭」のステージでも、地元選出の議員が挨拶され、
握手しながら会場を回っておられましたが、
地元意識の強い高齢者にすれば、握手して会話できる安心感は絶大でがんす!

郵政民営化は賛成ですが、骨抜きになってしまった感はゆがめない・・・
賛否を問うのが選挙の看板ですが、あまりに矛盾が多く、答えは見えない・・・
ある意味、総選挙は国の祭のようでもありますが、こちらも大きな曲り角なんでしょうね。

金は天下の回り物ではありますが、補助金は国民の血税であり、
イベント企画の何処までが、行政の仕事なのかも疑問であり、
地域住民にしても、補助金頼みのサークル活動では未来がない!

国レベルも、地方レベルも、個人レベルも、抱えている矛盾は同じかもしれまへん!


PS−2

カエルは合戦をスリ抜け、儚く逃げ惑い、ひっくりカエル事なく、無傷で無事カエルでしたが・・・
大問題が発生!

あとさき考えず、勢いで製作いたしましたので、大き過ぎて、保管場所がありまへん!

役場の駐車場、体育館、廃校、廃寺・・・
いまだ確定されず、野ざらしでシートに包まれ、哀れでがんす!

う〜ん!

良いアイディアはないものでしょうか??





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