VOL・107  コラボレーション   
2005/7

高島屋 コラボレーション トークショー

泥沼を脱出しかけたようでもあるJAPANの不景気ですが・・・ 薄日が差したり、曇ったり・・・
それはまるで、ワシのウスラのようでもある。

皆様の暮らしは如何なものでしょうか?


貧富の格差、都市と田舎の格差、学力の格差・・・
どっち付かずの中途半端な陶芸家は、結構、苦しい状況でがんす!

新作を工夫すれば、昔の作品が好かったと言われ・・・
展示を工夫すれば、棚や小物やライトが増えるばかり・・・
イベントを工夫すれば、雑務が増えまくり・・・
ホームページでの販売も休止中・・・

新たな地平線を見つめれば、個人の能力には限界がある事を悟り、壁に付きあたる。
殻を壊すのならば、外の力を借りるしかありまへん!

ゲージツ家は、新しい素材を求めたり、広い世界を旅したり、古い作品に想いをはせたり・・・
何かに目覚め大爆発される天才もおられる。


ワシの場合・・・
鉄、ガラス、石、木・・・ 異素材との組合せを試み始めて、20年近くなり・・・
行商という名の国内旅行で、世間の荒波に揉まれ・・・ 縄文土器にサバイバルを学ぶ。

まあ〜その〜
それなりに努力はしているのですが・・・ ここだけの話・・・ 大爆発する前にボケ始めたのであります。


毎年5月は、大阪なんば高島屋の7F催事場で展示会をしております。

思うに・・・
いにしえのテーマパークであったデパートという商形態も過渡期であり、
郊外型のショッピングセンターや専門店に押され気味・・・

エレベーターガールの白い手袋と、美術画廊が、最後の砦のようでもあり、
めまぐるしい時代において、不景気業種になってゆくのでしょうか?

されど、デパートの根拠の無い高級感は、独特の雰囲気があるのは事実だす!


会期中、6Fの美術画廊と食器売場をいつも旅するのですが、「特選ギャラリー」が妙に賑やか・・・
実演テーブルコーディネート&トークショーの準備中でした。

新鋭のフレンチシェフ&イケメン陶芸家のお話でしたが、
昭和33〜4年生まれの先生方で、ワシと同世代で興味深く、
作り手と使い手のコラボレーションがテーマでありました。

ソースが命のフレンチは、土物のザラついた肌は使えないのが常識らしいですが、トロミのあるソースで工夫!
冷たいコンソメスープを、徳利とぐい呑みで頂く!

常識にとらわれず、自由に工夫して楽しむという事らしいですが・・・
何よりも興味がありましたのは、高島屋のブランド戦略でありました。


器は、人間国宝のお孫さん陶芸家3名による、コラボレーションブランドとでもいうのでしょうか・・・
「高和年製」という高島屋ブランドを立ち上げられました。

名前の一文字づつを羅列しただけのネーミングですが、
根拠のない名門のカホリがいたします。

作品は量産陶器で、御本人達が汗して作られた作品ではなく、工場にデザイン指導されたもので、
普段使いがテーマですが、お値段とカタログは立派!


いつもはゲージツ作品を発表されている先生方ですが、時代の荒波なのでしょうか、
ブランドも工夫の時代といえるのかもしれまへん!

ワシも結構、工夫しているつもりですが・・・
死んだジ〜サンが漁師では、今更、人間国宝の孫には絶対になれまへん!


最後に質問コーナーがありました。

ナニワ風の派手なブランドおばさんいわく・・・
「人もいつか死ぬし、陶器もいつか壊れるのがアタリマエ!」
「いいものを大切に仕舞う人がいますが、ワテは使いまくります。」
「使いまくれば味も出るし、思い出も残るし、豊かな気持ちになれる。」
「それが陶器の醍醐味ですよね!」

風炎オヤジの魂いわく・・・
「この作品は先生が汗水垂らしてお作りになられたのですか?」
「このブランドの仕掛けは、先生方ですか?高島屋ですか?」
「今回の実演トークショーのギャラはいくらですか?」
「儲かりまっか?」

風炎ブランドは、根拠のない愛のカタチなのだと、負け惜しみ・・・


7Fは、今回で70回目を迎えた、なんば高島屋の「手作り作品展」の真っ最中で、
デパートの催事としては17年の歴史があり、
記念展として、大紙面での新聞チラシを打たれ、多くの出展者を集め、会期も長めでした。

限られた催事場に、出展者をいつもよりたくさんカキ集め、
広告予算を掛けまくり、売上効率のアップが、今回の戦略のようで・・・
そのお陰で、風炎ブースは縮小されてしまいました。

お客様の期待を裏切る、狭い展示となってしまった事を、高島屋に変わり、お詫び申し上げます。


退職されたマネージャーは、
突出して売上を出す工房よりも、悪くない工房が集まるほうが、全体のレベルが上がるというのが持論で、
薀蓄のあるお言葉と感心しておりました。

今回の新しいマネージャーの戦略は、売上の格差が広がる傾向にあり、
催事としてのレベルも、風炎窯の売上も、この先どういった方向に向かうのでしょうか?

う〜ん!

風炎窯の経営戦略に関わる大問題でがんす!


マリンメッセ 場内 合体ブース

毎年3月は、福岡のマリンメッセで陶磁器フェアがあり、全国各地から陶芸家が集まります。

300ブース程度の出展があるのですが、
出展料と電気設備費と什器のリース費と旅費と宿泊費とDM費は高額であり、
ボンビーな陶芸家達の節約術は素晴らしい!


最近、流行しておりますのは、ブース料節約のため1ブースを2工房で使うとか、2ブースを3工房で使うとか、
利害の一致したボンビー陶芸家の共同作戦でがんす!

その時困るのが看板名で、
「ClayClub」「MapleCulb」「風の谷の英窯」 そのばしのぎの工房名で出展いたします。

主催者も不景気のおり、黙認しているのが現状で、
これもある意味、コラボレーションといえるかもしれませんが、
勘のスルドイお客様におかれましては、根拠のあるボンビーのカホリを、察知されている筈だす!


交通費節約の為、
便乗とか・・・ 夜間フェリーとか・・・ 高速道は走らないとか・・・ カード割引とか・・・

宿泊費節約の為、
カプセルサウナとか・・・ 車中泊とか・・・ キャンプコンロでラーメンとか・・・

ワシも若い時は、車中泊の経験があり、ワイルド&サバイバルを楽しみ、
浮いた金で、悪友とネオン街を散歩して、男の空しさを勉強しましたが、最近はマジメだす!

何故なら・・・
ヘルニアで腰を傷めてからというもの、風炎カ〜サンが同行してくださるもので・・・


会場の駐車場で、愛の車中泊を試みた事が一回だけあります。

雨が降ってウルサイし、夜中にガードマンに注意され、先週、自殺があった場所とか・・・
結構、豪華であった夕食は、最後の晩餐に思え・・・
トイレとか、洗顔とか、歯磨きとか・・・
何かと女は面倒くさい生き物であり、ワイルドには向いていない・・・

それ以来、ビジネスホテルの狭いベッドとバスタブで我慢しております。


今年は会期中、福岡地震が発生し、震度6.5の大揺れで、途中で中止となりました。
ワレモノ注意の陶磁器は、ワレまくり、被害甚大だったとか・・・

風炎窯は、諸般の事情で出展を休みましたので、我家のTV映像に愕然!

コラボレーション仲間に電話をしますと、
津波警報が出され、会場前の駐車場に非難したらしいですが、
海辺の会場ですので、インドネシア並みの津波がくれば大惨事になっていたとかで、
生きているだけでも幸運と考えるしかありまへん!

地球のバイブレーションは恐怖でがんす!


こうした大規模な陶磁器フェアが福岡の場合、年3箇所もあり、
整然と並んだ、ブロイラーのような展示方法も、画一的で変化がなく、
高齢化のお客様におかれましては、見て周るだけでも疲れるとか・・・

最近は自宅展に力を入れる陶芸家が多く、
ゆったりと作品を見て、会話を楽しみ、思い出を重ねる・・・
これも、高齢化に向う陶磁器イベントのカタチなのかもしれまへん!


話は変わって・・・
芸能界では、絵画や陶芸を趣味とされている方が多く、セミプロレベルの方も多い・・・
表現者として共通項が多いのかもしれまへん!

某演歌系の女性歌手の場合、
写実系の絵画がセミプロレベルで、ある美術団体の広告塔のようでもあり・・・
企画会社を経営されている御主人は、備前焼の教室や工房をもたれ、
岡山の山中に登り窯もあり、職人もおられるとか・・・
芸能人ブランドとの相乗効果で商売繁盛らしい・・・


愛する某男性歌手の場合、
どこかの窯元で焼かれた作品を、FANCLUBの記念品や景品やチャリティーでバラ撒かれておりますが、
あくまでサービス精神で、あまり商売気はありません。
最近は、本の執筆や朗読もされております。

恥ずかしながら、昨年、コンサート会場のデマチで御本人に、風炎カップを差し上げたのですが・・・
その情報がオッカケ仲間にリークされ、同じカップがFANの間でチト売れたりもしましたが・・・
芸能人ブランドの恩恵に預かりながら、売上は有難くチケット購入費にさせて頂ました。


コンサート企画もコラボレーションが盛んで、
演歌系の場合、ふたりのビックショーや、夫婦コンサートや、座長公演であったり、
サービス精神の一方で、不景気のカホリがチトいたします。

クラシック系でも,パバロッティー&ドミンゴ&カレーラスの、3大テノール夢の競演とかありましたね!


思うに・・・
コンサートも、画廊の個展も、派閥の美術展も、ギャラリーのグループ展も、
コンベンション施設やドーム球場での大規模なフェアも、
関係者とお客様のコラボレーションによって成立しているのは間違いありまへん!

根拠の無い高級感や、根拠のあるボンビーのカホリや、カタチのないメロディー・・・
貴方の食卓の、口の欠けた魚ギョぎょな食器の、食べたら消えるテンコモリ料理・・・

一期一会の儚さは、侘び寂びの世界でがんす!


ゲージツ家は個性の主張が強く、美術団体や家元の縦社会は、制度疲労が激しい・・・
機動力を発揮するには、フレキシブルに対応できるネットワーク社会が時代の潮流であり、
ある意味、そのばしのぎのコラボレーションは、時代の本流といえるかもしれまへん!

う〜ん!

コラボレーションを相乗効果で価値を高める手段ととるか、合理化による経費節減ととるかは微妙ですが・・・
イロイロな事情が絡み合っているのは、間違いありまへん!


PS

安芸太田町の旧加計町にある、小さな回遊庭園「吉水園」は、県指定の文化財であり、
生息するモリアオガエルは天然記念物であり、
マスコットキャラクターでもありました。

「かえるまつり」を立ち上げ、かえるでの町興しを画策しているのですが・・・
先日、専門家によるシンポジュームが開かれました。

モリアオガエルのハーレムな愛の営みはエロく、泡のような卵胞はオタマからカエルへと変態を重ね、
目に付きにくいだけで、広範囲に生息しており、繁殖力もバツグンに強いとか・・・

学者の立場からすれば、天然記念物に指定されるのが、不思議であり、
むしろ、メダカやトノサマガエルのほうが絶滅危惧種であるらしい・・・


モリアオガエルに罪はありませんが・・・
ワシの中では、モリアオガエルのブランド力はチト低下してしまいますた!

陶芸の道に入った頃は、人間国宝は雲の上の存在・・・
陶芸の道に疲れた頃は、美術団体や家元や勲章制度のアヤシサを感じ・・・
巧みなブランド作戦の裏の裏も垣間見る今日この頃・・・

う〜ん!

ワシにも罪はありまへん!


PS 2

10月13日〜18日まで、広島福屋西条店でコラボ陶芸展を画策しており、
サブタイトルは、「若手とは言えなくなってしまった、3大オヤジ陶芸家たちの夢のコラボレーション!」

夢の競演の根底にある諸事情は、会場でのお楽しみという事で、ご了承つか〜さい!






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