VOL・96  時刻表   
2004/7

太田川 風炎フェスタ

時の流れに身をまかせ・・・ せせらぎの音色を響かせながら・・・ 瀬戸内へと流れる、清流太田川・・・
蛍も乱舞するこの時期・・・ 風炎工房は、フェスタの準備、開催、片付けで、大忙し!

サブタイトルは、「初夏の陽気に誘われて・・・ 川辺の工房にクラフトの風が吹く・・・」
終わってしまえば、毎年のように、思いもしない物語が生まれるのでありまする!


昨年は5月の台風に見舞われ・・・ 
終わってしまえば、「初夏の陽気に誘われて・・・ 川辺の工房に、暴風雨が吹き荒れた・・・」

可部線も廃止された今年、近隣のイベント会場は動員が激減!
さて、今年の風炎フェスタは、どうなる事か・・・



☆事の初めは4月末・・・ 広島福屋での「やきもの展」会場にて・・・
出展者のうち、風炎フェスタに出展してくださる工房が4軒あり、刷り上がったDMで、手配り&口コミ大作戦!

あるミセスとの会話・・・

「6月に風炎フェスタが開催されますので、是非工房にいらしてください。」
「参加工房も沢山で、吉水園の一般公開日ですので、楽しいですよ!」

「車は無いし、加計は遠いし、大田舎だし、可部線も廃止になったので、行けませんねぇ!」


う〜ん! ナニクソ!

「高速バスのバス停が、近くに新設されましたので、便利で早いですよ!」
「広島バスセンターから50分ですよ。乗り継ぎバスもあるし工房までスグですよ!」

「大田舎のバスは、便数が少ないので、待ち時間が大変でねぇ。」
「以前、三段峡で2時間も待ちましたので、もうコリゴリ!」


う〜ん! ナニクソのクソ!

「パソコンありますか? 解り易い時刻表が、ホームページにはあるのですが・・・」
「御主人か、お子さんが、パソコンを使っておられませんか?」

「パソコン??? 都会にはそんな物、必要ありません!」

「FAXありますか? 無ければDMを差し上げますので、ご住所をください。」
「工房から、バス停まで送迎させて頂きますので、電話ください。」

「まあ〜 大田舎には行けませんけど・・・」



☆事は続いて5月中旬・・・ 出展工房の皆さんの協力で、DM約4000枚の発送が完了!
工房の電話が鳴る・・・ バス便の問い合わせ・・・

「三次からですが、高速バスありますか?」

「バスセンターからの高速バスの時刻表は、準備してあるのですが・・・ 三次は想定外でした・・・」
「バス会社の時刻表は詳しすぎて、即答出来ませんので、お時間をください。」

「スミマセンね。 可部からの時刻表でいいですので、お願いします。」

「可部からは、在来便と急行が混在して難しいので、お時間ください。」


う〜ん! ナニクソ!

よし! FAX送信用のシンプル時刻表を作るぞ! HPからコピーして付け足すだけだし・・・

おっとっと! 改正されていている・・・
在来、急行、高速・・・ 乗り継ぎ、ガケ崩れ、通行止・・・ 地元のワシにも、わけ解らん!


う〜ん! ナニクソのクソ!

バス会社の詳し過ぎる時刻表 + 乗り継ぎバスの時刻表 + ガケ崩れによる路線変更 = トンチンカン!


う〜ん! ナニクソのクソのクソ!

夜中まで、パソコンに向かう・・・

風炎カ〜サンいわく・・・ 「どうせ、バスで来る人は、百人のうち一人もいないんじゃないの?」
風炎キッズいわく・・・ 「そんな暇があったら、湯呑の一つでも作ればいいのに・・・」



☆事は続いて・・・ 工房の電話が鳴る・・・ あの福屋のミセスからの、問い合わせ・・・

「加計に行った事のない友人が、吉水園に行きたいというので、ついでに風炎フェスタに行こうと思うのですが・・・」
「乗り継ぎバスで回れるのですか? 昼食は何処でできますか? その人、陶器は嫌いなんですけど・・・」

「調べてみますのでお時間くださいませ。」


う〜ん! ナニクソ!

広島駅発9:43 ⇒ 加計高速BS10:49 ⇒ 乗継 ⇒ 加計中央11:14 ⇒ 吉水園(弁当あり)
加計中央13:40 ⇒ 遅越13:45 ⇒ 徒歩3分 ⇒ 風炎フェスタ
加計高速BSまで乗継はないので、ワゴン車で送るしかない・・・


う〜ん! ナニクソのクソ!

簡単な地図と、イベント内容と、吉水園と周辺の説明・・・
出来上がったのは旅行社の企画書のような、素晴らしい時刻表! ついでにカラー印刷で美しい!

即、FAX送信! すでにFAX済みの御客様まで、修正版として、再送信!


やるしかないので、やってしまった時刻表を眺めながら、ふと想う・・・
なしてワシが、ここまでやる必要があるのでしょうか???

吉水園は文化財だし・・・ モリアオガエルは天然記念物だし・・・ 町内もイベントの真最中!
可部線廃止で公共交通が乱れるのは解っていた事・・・


う〜ん! ナニクソのクソのクソ!

素晴らしい時刻表を抱えて、加計町役場の産業課と、川森文化交流センターと、観光協会に配り・・・
行政の怠慢を、さりげなくアッピ〜ル!


RCCラジオカー 新聞チラシ 時刻表


☆事は続いて5月末・・・ マスコミにバラ撒いたDMの効果が、ジワリ・・・

翌日、RCCラジオカーの取材で、時刻表のFAX送信の告知をしましたら、3件の問い合わせ・・・
こんなものかと、可愛いキャスターの幻と、ラジオ電波の儚さを知る・・・


翌日、中国新聞の取材があり・・・ 「昨年は取材が遅れてスミマセンでした。今年は早めに載せます。」
窓ガラスに貼ってある時刻表を指差し・・・ 「これは何ですか?」

夜中、記者から電話があり、上司が時刻表をエラク気に入ってるとの事で、デカ記事を県内全域に載せるとの事・・・
いやな予感がしたのですが・・・

そもそも新聞の宣伝効果は、ラジオよりも、テレビよりも、絶大でがんす!



☆事はそろそろ、山場を迎えるフェスタの前日・・・ 準備も最終段階・・・

朝起きてスグ新聞を開く・・・ 手配しておりました、風炎フェスタの折込チラシは、GOOD!

さて、記事は・・・ おおたまげ!
写真もデカイ! 記事もデカイ! タイトルもデカイ! なんと、タイトルが「バスでどうぞ!」


可部線、バス、時刻表の話ばかりで・・・ 素晴らしいフェスタの内容が、チト淋しい・・・
これでは、時刻表のほうが目立ち過ぎでがんす!

本末転倒! バスに乗るための、目的がウスラなのだ!


う〜ん! ナニクソのクソのクソ!

と想っても、出てしまったものは仕方ない・・・
たぶん、問い合わせは無いだろうとの予感は、見事ハズレ・・・ 2件ほどでした。

出展者集合! テント設営! 作品展示! 幟と看板! もう今更、なるようにしかならない!



☆事は最大の山場を迎えた、フェスタ初日・・・ 何が何だか・・・

駐車場は満車で道路に溢れ、交通整理も出来ず、事故の心配・・・
¥1,000クジも盛況で景品が足りない・・・ 食事の時間もない・・・
場所の問い合わせ、バス停の問い合わせ、送迎、キャンセル・・・

御客様の顔は解っても、名前が思い出せない・・・ オツリの計算が出来ない・・・

ただドタバタと過ぎた3日間!



☆事が終わると・・・ いつものように、脱力感でポカン!

今年は好天でしたが、連日30℃を越える猛暑・・・
終わってしまえば、「初夏の陽気に誘われて・・・ 川辺の工房に、真夏の陽射しが照りつけた・・・」

好天に恵まれまして大盛況! 昨年の売上を、大幅にアップ!
御客様、出展者様、サポートして下さった皆様のお陰でございます。

まとめて、御礼を申し上げます!

バスを利用してくださった方も20名ほどで、近くは可部方面、遠くは倉敷・・・
さらに遠くは、群馬県からも・・・ ブチクソ恐縮しております。



☆事はシツコク続き・・・ 一本の電話・・・ あの福屋のミセスからでした。

フェスタ当日、加計高速BSまでのワゴン車でのお送りは、出展者の猿蟹窯の御主人が担当して下さったのですが、
上りと下りのバス停を間違えて、御客様を降ろしていたらしい・・・

「大盛況でよかったですね! それはそうと、バス停、間違ってましたよ。」
「待合所を掃除していた地元のオバサンが気付いて、軽トラックで送ってくれました。」


「どうも、スミマセンでした。」

「バスが10分ほど遅れたので、どうにか間に合いましたから、良かったんですけれど・・・」
「それよりも、田舎の人は優しいですね! 感心しました! あの方に御礼したいので、住所を教えてください。」
   
「もし解りましたら、お知らせいたします。 これに懲りず、来年も来てくださいね。」

「やっぱり、加計は遠いわあ〜 ははは・・・」



☆事の後始末が残り・・・ 送迎した御客様全てに、お詫びの電話・・・

「どうも、スミマセンでした。」

皆様、大事にはいたりませんでしたので、ひと安心・・・

主催者と致しましては、今回の風炎フェスタが残した裏テーマは、時刻表であったのは、間違いありません!


今後の希望といたしまして、行政には、周遊型のイベントバスを走らせて頂きたいのです。
その名も「太田川くるりんバス」

現在バラバラの、田舎のイベントを淘汰して、開催日を合わせて、ツナゲルのが宜しいのでは・・・
可部線無きあとの、公共交通を大切に育てていかねば、なりませぬ!


通勤もない、中途半端な陶芸家にとって、時刻表とは不慣れなものでがんす!

窯焼の点火時間からのデータは、ノートに記帳しておりますので、これが唯一の時刻表と言えるかもしれまへん!
素焼き8時間、本焼き10時間、冷まし16時間・・・ 天候と湿度に多少左右されるのですが・・・


想うに・・・ 陶芸家が新聞記事になる場合・・・

海外のビエンナーレ展でグランプリ! 公募展の受賞! 個展開催! 珍商品の開発! が普通でがんす!

全世界の陶芸家の中で、時刻表で新聞紙面を騒がせたのは、たぶんワシだけ・・・
中途半端な陶芸家の、中途半端なイベントに、中途半端な箔がつきました。

嬉しいような、悲しいような複雑な心境で、あの記事は、もう見たくありまへん!

●見たい人はこちら


その後、次に向けての、作陶で忙しいのですが・・・ また、あの福屋のミセスから電話がありそうな予感あり!

時の流れに身を任せ・・・ 予告もなしに・・・


PS

風炎キッズ1号は、朝7:12の高速バスで通学ですが、満車で乗車拒否された事が数回あります。

広電営業所&役場に苦情を言っても、たらい回しで進展はなく・・・ 広電本社にMAILしたり、役場の課長に直訴!

この高速バス、行政がバス会社から中古で買取り、運行はバス会社に委託しているらしく、
赤字は行政が被るシステムで、国土交通省の裏技路線らしい・・・

バス会社も利潤の望めない路線にはオヨビ腰のようです。


バス便の増発、時刻の変更、予約制・・・ いろいろ討議されたようですが・・・
結局、その時だけ、地元バスの臨時増発で対応して下さる事になりました。

(もしかして・・・ 今回のバス記事は、問題解決への行政へのプレッシャーに、多少なったのかもしれません・・・)


民営化の名のもと、利潤だけでは語れない生活基盤や福祉が、
地方から崩れ始めているのが、JAPANの現状でがんす!


そういえば沖縄には鉄道がなく、バスが公共交通の要なのですが・・・
時刻表もある事はあるのですが、時間にルーズなウチナ〜タイムの風土では、時刻表の精度は悪い・・・


う〜ん!

時刻表のない南の島の暮らし・・・ 幸せなんてこんなものかもしれません!
ボケルに任せる、中途半端な陶芸家の暮らし・・・ これもある意味、幸せなのかもしれません!


おっとっと! 風炎キッズもテストで忙しい・・・
おっとっと! そろそろ、窯の火力を上げる時間かもしれん・・・
おっとっと! 次の鹿児島での展示会の搬入時刻は、31日の午後2時でがんす!





 Back      Top