VOL・93  都会と田舎   
2004/4

手作り展 銘々皿

風炎作品は毎月のように、展示会という名の行商の旅をしております。
ポンコツワゴンに揺られながら・・・ 皆様の幸福を夢みながら・・・ 都会と田舎を行ったり来たり・・・


先日は、大阪の老舗デパート、なんば高島屋の名物催事の「手作り作品展」に、出展いたしました。

寒い冬の出展は、10年ぶりでがんす!

2月は、商売も厳しい時候ですが、さらには不景気のおり、財布の紐もカジカム・・・
昨年のヘルニア入院で、展示会のローテーションが狂いまして、初夏の出展予定が前倒しとなりました。


行商の旅は、いつもカ〜サンと二人で、ワゴンのシートを外して、作品を満載。
大阪まで片道約5時間の運転ですが、交代しながら、体操しながら、安全運転を心がけております。

高速道の冬タイヤ規制に備えまして、スタッドレスタイヤを新調しましたが、急に暖かくなりまして春の陽気・・・

ケムシが沸くように、沢山のお客様が会場にお越しくださり、思いがけず大繁盛!
お客様には、ヘルニアのお見舞いまで頂きまして、有難うございました。


マイド! 大阪人は、オシャベリで楽しい!

都会の風に吹かれ、お客様のご意見を聞きながら、新作のネタ探しも、旅の楽しみのひとつでがんす!

一週間も滞在しますので、時間を作っては、デパートじゅうをウインドショッピングしますが、遊びでは無い!
画廊、食器、インテリア、ファッション、食品・・・ デパートは時代のヒントに溢れております。


画廊の大先生の桁違いの350万円の唐津焼を眺め、600万くらいは売れてると、赤丸を計算したり・・・

隣の小画廊の陶芸家と会話したり・・・ 八ヶ岳在住とかで、名刺の交換。

陶器に赤い漆を塗り重ね、金彩を施した、魚ぎょギョな銘々皿を発見!
漆は木に塗るという常識がコケまして、このような技法が成立する事に驚愕!

ご夫婦で製作されているとかで、奥様の作品なのですが、魚ぎょギョなデザインも参考になりますもので・・・
思わず購入しました。


食器売り場は、量産陶器のテンコモリ! ここまで来たかと、絶句!

中途半端な陶芸家が凝視しても、手作りにしか見えないご飯茶碗・・・ ¥800なり!
勢いのあるロクロ目、高台の削りは微妙に歪み、指跡まで再現!

複数比べて、やっと型物量産品であると判明! 単品では立派な手作り陶器以外の何者でもありまへん!

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 中途半端な陶芸家の儚さでがんす!


大小セットの夫婦湯呑は、男女差別の名残りのようでしたが・・・ もう無い!
和食器の5組セット、洋食器は6枚セットという常識は崩れさり・・・

「4枚は縁起が悪いので、5枚にされたら如何でしょうか? 割れた時の予備に6枚あれば安心ですよ!」
さり気ない、セールストークも効果なく、家族バラバラで個性の時代!

バブルな時代は小振りな食器が好まれておりましたが、最近は大きめがいいらしい・・・
コーヒー、スープ、カフェオーレ、サラダ・・・ ジャンボな単品マイカップが良く売れたりしておる。

反して、ポットや急須は小振りで、二人分くらいしか注げそうもない・・・
寒い冬の風物、土鍋も小振り・・・

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 寂しい核家族の食卓でがんす!


女性下着はカラフル&エレガント&セクシーで、アヤシクもライトアップされ、
婦人服は、高級ブランド品やバーゲン品で溢れておりますが・・・

奥まった所にある、紳士服の売り場は、縮小され肩身が狭い・・・

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ オヤジの失墜と、コズカイの低下でがんす!


閉店間際でも、地下の食品売り場は大繁盛! 中でも惣菜売場の充実振りは圧巻!

洋食、和食、中華・・・ 煮物、焼物、揚物、サラダ・・・ パン、パスタ、白飯・・・
ありとあらゆる食材に溢れ・・・ トレーも、磁器の染付け風や、木目があったりと、コダワッテおる!

計り売りのバイキング形式もあり、量も自由自在。

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ カ〜サン達の包丁離れでがんす!


吉本NGK近くのビジネスホテルに連泊しますが、大都会は眠らない・・・

居酒屋、ピンサロ、キャバレー、テレクラ、コンビニ・・・ 明け方まで営業の本屋もある・・・
吉本NGKの前には、毎晩オールナイトで¥700で2本立てのポルノ映画館。

都会人の活動時間は、夜勤、昼勤、非常勤とバラバラなのかもしれまへん!

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 家族のすれ違いでがんす!


家電の街、日本橋は、ビッグカメラのビックな出現で、熾烈な価格競争!

照明店も、パソコン店も、オーディオ店も、部品店も、カメラ店も、
喘ぎながら、シャッターの降りた店がチラホラ・・・ マニアな店に特化するのが、生き残り策のようでもある。
中古ゲーム、ビデオ、DVD、フィギュア、中古レコード、古本、ラジコン、プラモデル、ジャンク部品・・・

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ オタク天国でがんす!


入れ替わりの激しい外食産業も大忙し!
おかわり自由の、トンカツ屋、ピザ屋、ラーメン屋・・・ おかわりしなくても腹一杯になる、中華屋、定食屋。

狂牛病、鳥フルエンザ、クローン野菜・・・ 食の安全が問われる時代・・・
されど、吉野家も松屋も、それなりに繁盛!

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 血糖値の上昇と、肥満と、不健康でがんす!


都会の暮らしは忙し過ぎて、季節のうつろいも、昼夜のうつろいも、家族の団欒も、希薄になるばかりですね!

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 本当の幸福なのでしょうか???


高島屋7Fの催事場は、毎晩8時までの営業ですが、最終日は4時で閉めます。
撤収作業は、ワレモノですので、結構手間ですし、戦争のように忙しいだす!

それでも6時過ぎには、搬出を終え・・・ 夜の高速を走りながら、某歌手のCDを流し・・・
一仕事終えた満足感は、リラックス出来る一時・・・

真夜中には工房に到着しまして、
翌朝、荷物の整理をする頃は・・・ すっかり、谷間の風景と、霜と、寒気に包まれておりました。


加計高速BS ネット促進フェア

田舎の風景は何処か寂しく・・・ 早いもので、JR可部線が廃止されて4ヶ月が過ぎようとしております。
名残りの線路も赤錆で覆われ、踏み切りも舗装され、地域住民にとりましては、儚い風景だす!


工房のある加計町をとりまく環境は厳しい。

可部線の廃止、出先機関の撤退、市町村合併、高齢化・・・
行政主導の第三セクターや、ハード施設は、空回り・・・

可部線復活派と、高速インター施設派が、政治派閥と重なりあって、新聞でチラシ合戦!
JRが地域に残した10億円の使い道で、ギクシャクとした空気が漂う・・・

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 損得勘定でがんす!



代替として、風炎工房から車で3分の所に、「加計高速BS」が新設されました。
中国自動車道経由で、山陽山陰を結ぶ、ハイウェーバス専用のバス停です。

我が町にとっては、都会と田舎を結ぶ要の公共交通だす!


広島駅、バスセンターから、50〜60分、片道運賃¥1,060なり! 結構、早くて便利!
BSからは、地元のバスが、風炎工房や加計市街に連絡しています。

風炎工房にお越しの際は、ご予約頂けますと、工房のポンコツワゴンで、無料送迎サービス!

工房ギャラリーで作品を購入するかしないかは、貴方にお任せいたします。

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ ほんの少しの商売繁盛の期待でがんす!


「加計って大田舎だと思ってましたが、結構近いのね!」 意外とよく聞く、感想であります。

●時刻表はこちら


話は変わって・・・


3月初旬、地元の川森文化センターで「インターネット推進フェア」が開かれました。

当日は、あいにくの雪・・・


朝10時からの、大学の教授の講演も、聞く人はチト少なめでしたが、オヤジ達が真剣に聞いておる。

ネット会議、ネットカメラ、速度体験、相談・・・
何より、デジカメ、DVDプレーヤー、商品券の当たる抽選会もある。

午後の2時半からの抽選でしたので、一旦工房に帰りまして、窯詰めして、点火しました。

予定時刻に再び訪れますと、主婦やキッズのテンコモリ!
クジの確立は急降下しまして、見事にハズレ! 景品のデジカメの夢は消えた・・・


現在、工房はフレッツISDNで、昨年やっと常時接続が実現され、今年にはADSLが一部提供される予定とか・・・
NTTによりますと全国の90%以上をカバーするとかですが、これは人口比率でありまして、面積ではない。

この先、デジタルに移行される地方のテレビ局も、過疎地まで手が届かない可能性があり、
今回のADSLも、試験運用の意味合いがあるそうで、
情報過疎地にならないように、行政からも、加入を勧められました。


NTTも民営化され、経済効果の見込めない過疎地は、こぼれ落ちる可能性が大きいとか・・・

そもそも、人口の都市集中の是正を、IT革命&インターネットに期待しておったのですが・・・

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 都市と田舎の情報格差でがんす!


JAPANは、民営化へと、合併へと、構造改革へと・・・ 革命の時を迎えようとしております。
熾烈な実力主義が向かうのは・・・ 貧富の格差、情報の格差、都市と田舎の格差・・・ 終わる事のない競争原理。

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 本当の幸福なのでしょうか???



ここ最近、都会と田舎を行ったり来たりしながら、思い巡らせるのは、中途半端な陶芸家の暮らし・・・

都会のデパートや、老舗のギャラリーでの個展は、陶歴としてのステータスもあり、作家としてのブランド力はアップ!
されど、この厳しいご時世・・・ 陶芸家と申しましても、モノツクリだけで生きてゆくのは至難の技であり、
それなりに工夫を重ねておる次第でおます!


風炎オヤジの場合、ブコツな性格上、社会的地位には無頓着ですので、やりたい放題!
田舎の復権を願いつつ、成り行きで始じまったのが、今年で4回目を迎える「風炎フェスタ」でがんす!

屋内のギャラリーでスポットライトを浴びるのもいいですが、野外や、工房での展示も楽しいのでは・・・
都会から田舎に、御客さまを引っ張りこむ、作戦なのですが・・・ 悲しいかな、ブランド力がありまへん!


お客様のご来場、各工房のご参加なくしては成立いたしません。


大田舎の、谷間の、川沿いの、小さな工房の・・・ 自宅や、車庫や、テントでの展示なのですが・・・

悪天候には弱い。

昨年は30年振りの5月の台風で、多くの犠牲者を出してしまいましたが、
今年はさらに多くの工房のご協力を頂いており、これ以上の犠牲者が出ませんように、祈るのみだす!


田舎があるから都会があるのであり、都会があるから田舎があるのです。
ゆえに共存なくして、JAPANの未来は無い!


都会と田舎が共存できるのならば、「風炎フェスタ」は、成立する筈でがんす!

ですから、御客さまにおかれましても、JAPANの未来のために犠牲になって頂きまして、
雨にも、風にも、雪にも、地震にも、突風にも、台風にもマケズ・・・ 死ぬ気で参加してつか〜さい!


聞くところでは・・・ 長野県周辺の松本や八ヶ岳では、野外でのクラフトフェスタが盛んとか・・・
勉強も兼ねまして、今年の秋あたり、参加を画策しております。

う〜ん!

その先に見え隠れしているのは・・・ 雄大な日本アルプスの風景と、「風炎フェスタ」の未来かもしれん!


PS 

風炎キッズ一号は、今春、高校受験でしたが、徒歩通学できる地元の県立高校がありながら、市立を希望。
何故かといえば、7クラスで、生徒がたくさんいるから・・・

思えば、1才から地元の保育所のお世話になりまして、
それから、小学校、中学校と、ず〜〜っと1クラス、2〜30名ほどで、15年間も、ず〜〜っと同じ顔!


都会のマンモス校からみれば、少人数で、ゆとり教育なのですが・・・

特に、荒れているとか、イジメがあるとかではないのですが、
ある種の派閥が成立しており、仲良しこよしで、競争原理はない。

半数以上は、宿題をしないのが当たり前になっているとか・・・


キッズなりに努力して、やっとの思いで、メデタク、市立沼田高校に入学できました。

学歴が全てではありませんが、人との出会い、人間関係を深める事は、大きな生活力になります。

これからの3年間、のんびりした田舎と、忙しい都市の間を、ハイウェーバスで往復しながら、
自分探しの旅で、何かを見つけてくれればと、願っております。

う〜ん!

その先に見えるのは・・・ 希望に満ちた、未来であれ!





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