ワレモノ

ダ・オーレ

大阪、高島屋での展示会では、1週間、近くのビジネスホテルに泊まりまする。
朝、時間がありましたので、近くのレストランモール、「ダ・オーレ」の
ハンバーガーショップに入りました。

愛想と解っていても、可愛いレジギャルのスマイルは、中年のオヤジには・・・ やはり、素直に嬉しいもの・・・
180円のブラックコーヒーを注文して、ボケっと、独りタタズミながら、
人間ウオッチング

こうしたショップの、マニュアル化された接客も、無骨な風炎オヤジには、ブチ、勉強になるまする!


トイレには、30分ごとに掃除当番が決められており、チェックシートには印鑑が押してあり、
責任の所在を明確にする為のものでしょうね!

入口周辺は、店長らしき男性が、これまた30分ごとに、清掃、水撒きをされておりました。

徹底された、衛生管理には、脱帽!


大阪人は、朝から元気でよく喋り、ワイワイ、ガヤガヤ・・・ 賑やかな店内でありました。

突如、ガチャ〜ン! 散乱! 一瞬、賑やかな店は静まりかえりました。
レジギャルが
粗相を致しまして・・・ レジ周辺にありました、スプーン、シュガーが入っておりましたカゴを、落としたのだ!

一瞬、間を置いて、本人と周辺の店員の数名が
・・・ 「失礼いたしました!」

やがて、店内は何も無かったかのように・・・ 賑やか!

落とした本人が、謝るのは、当然なのですが・・・
周辺の従業員まで・・・ 大きな声で、ハッキリと、揃いもソロッテ、同時に、・・・ 「失礼いたしました!」

う〜ん! ブチ、感心しますた。

しっかし、この店の危機管理にも、完全脱帽!
さすがナニワの
商人魂! 180円のブラックコーヒー一杯で、エライ勉強をさせて頂きました。

全国陶磁器フェスタ マリンメッセ会場風景

陶磁器の産地が多い九州、福岡のマリンメッセや、小倉の総合展示場での陶磁器フェスタでは、
300近い、
窯元の出展があります。

前日の準備や、最終日の片付けは、大仕事であり、時間に追われ、皆様、あせっております。
ガチャ〜ン! 場内に時折、
割れる音がコダマシまする!


陶器は割れるのが運命とはいえ・・・ 一度も使われる事なく昇天するのも・・・ チト、悲しい!
されど、窯元と致しましては、年に数回ある事でして・・・ ある意味、覚悟だす!


作者自身が売場に立つ場合、
売れても、売れなくても、どうでもいいような態度をとる場合が、多いのですが・・・

陶器の販売は、強引に御勧めしても、売れるものでもありません!

作品は、我が子同然ですから、むやみに誉めタタエルのも、恥ずかしい・・・
されど、
心中は、さり気なく、いかに売るか、考えてはおりまする!


「これと、これ、作者としては、どっちが御勧めですか?」 「どちらの色がいいですか?」

よくある質問ですが・・・ 殆どの場合、お気に入りの作品が、御客様の心の中にあるのですが・・・
悩むというよりも、自分の好みの
同意を、求められている場合が、殆どだす!


この御客様の、
本命はどちらなのかを見抜くのが、無骨なオヤジの、商いのテクでがんす!

「こっちが、ええでがんすのう!」

無骨にさり気なく、御勧めして、
本命と合致しますと・・・ 御客様は、大喜びだす!


一度買った
作品の値段は、よく覚えておられる場合が多く、
いつもと同じ、風炎作品の値段を、確認されますと、妙に安心される場合があります。

確かに、お気に入りの作品が、買った時より安くなっていますと・・・ チト、悲しいものですよね。


「去年は安くしてくれたのに・・・ どうして今年は、ダメなんですか?」

稀ですが・・・ 以前は、風炎オヤジが値引したと、
カマをかけてこられる御客様・・・
何ともスルドイ、値引きのテクでありまする!

風炎オヤジは無骨ですが・・・ 誠意をもって、正直に、接客しているつもりですので・・・
こうした場合、心から買って頂か無くてもよいという、気分になります。


購入時の御客様は、ある種の興奮状態・・・ さりげない心のカケヒキ・・・
やっと
購入を決定して頂けそうな・・・ その瞬間!

ガチャ〜ン! 隣の備前焼のブースで、コダマシますた!

瞬間! 興奮が冷め・・・ 陶器は割れるという現実が、御客様の
脳裏をヨギリます。
購入欲が冷めてしまわれる場合もあり・・・

こんな時の、ガチャ〜ン!
それは、割れるが覚悟の陶芸家と致しましても、結構、ショックでがんす!


しかし、隣のブースの若い備前焼の作家は、タクマシイ!
「御客さん、この割れ口を見てみんしゃい。 外は茶色でも中は黒いでしょ。 均一に薄くて
旨いロクロでしょ。」

結局、押しまくり、販売されてしまいました。 う〜ん! 負けた!


作者自身が売場に立つ催事は、通常のショップでは味わえない、
心の機微や、ドラマがありますので、
皆様、是非お立ちより下さいませ!


貫入

風炎窯は、独立開窯いたしまして12年になりますが・・・
作品は、陶器と致しましては、
大変丈夫で、良く焼締まっております。

先日の事ですが・・・ 古い作品が割れたと、
修理依頼で、わざわざ、工房に御越し下さった御各様がおられました。
割れたのは残念なのですが、そこまでして大切に使って頂けますのは、ある意味、感謝、感謝であります!


割れるのは、御飯茶碗の場合が多いのですが・・・
これは、毎日、使って頂き、
使用頻度が高いのと、割れ易い形状のためと思われまする。

桐箱の家のある、ブルジョアの抹茶碗に比べて、
毎日、乱雑に、使いシゴカレるのが、飯碗の
悲しい運命でありまする!


漆での修理法がありますが、高価ですので・・・ 最近はボンドが強力ですので、利用しております。

部品が揃っている場合、かなりの修理が可能です。
しかし、食器の場合、ボンドでの接着は、多少ですが、人体に害がありますので、御勧め出来ません!

花器の場合、部品が揃っていれば、修理出来ます。
可能な限り、対応させて頂きますので、御遠慮なく、御申しつけ下さいませ。


最近、数名の方から、
不思議な事例が報告されております。

「何もしないのに、置いておいた、碗が、ポッカっと割れた!」 まるで、マジック! 超能力の世界でがんす!

陶器は、釉薬の表面に、
貫入といわれる、小さなヒビがある場合があります。
多少の吸水性がありますので・・・ 濡れたり・・・ 乾いたり・・・ シミが入ったり・・・

茶陶、萩焼の七変化といわれる、色、味わいの変化も、それらが原因で起こるものです。
陶器独特の、使い込んだ、
深い味わいとなっております。


無意識のうちに、微妙な
アテキズが発生している場合も、考えられるのですが・・・

経年変化で少しづつ、割れが広がって・・・ ある日突然、ポカッ!

これが、不可解な
怪奇現象の原因ですので、申し訳御座いませんが、あしからず!


古い作品を、毎日、使われております、御客様が、
「最近の作品は、以前より、色が悪くなった!」と、申される場合があるのですが・・・

毎日、眺めて、使い込まれた古い作品は、気付かぬうちに、だんだんと
、味わい深くなっておりまする!

窯から出たばかりの作品は、エクストラ・バージンですので、皆様の色に染めて頂くのを、待っております。
古い骨董
作品に、現代作品が負けますのも、こうした味の魔力で御座いまする!


♪時の流れに身を任せ・・・ 貴方の色に染められ・・・ 一度の人生それさえも・・・
割れて、壊れるのが、陶器の運命!

皆様の暮らしの中で・・・ 浮き草のように・・・ その移ろいゆく儚さよ・・・

これも陶器の魔力だす!


PS

工房前の国道191号は、太田川沿いを、
グニャグニャ蛇行しながら走っております。

まして、険しい山々の絶壁は直角に近い所も沢山あり・・・ 土砂災害の
危険地帯でがんす!
10年に一度くらいは、集中豪雨、洪水、土石流災害が発生しております!

先日の
大寒波でも、崖崩れで、通行止になってしまいました。


悠久の時の流れ・・・ 
実は、緑の山河も、青い地球も、ワレモノですね!
火山噴火、地震、風化、堆積を繰り返す、地質の輪廻・・・ 陶器はワレモノ・・・ 自然の摂理でがんす!


国道には、落石注意の道路標識が、沢山ありますが・・・ 注意してもしょうがありまへん!
上を見ながら運転しますと、太田川に落ちてしまいまする。

落石覚悟!ワレモノ注意!




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