望郷

10年前に亡くなった、風炎オヤジのオヤジ、
大酒オヤジは、鹿児島出身でがんす!
それも、西の最果て、東シナ海に面した、野間池という
小さな漁村でありました。

幼少期、連れられて、夜行列車で、帰省した記憶があります。

ゴト・ゴト・ゴト・ゴト・ゴト・ゴト・ゴト・ゴト・ゴト・・・ 10時間!
満員で、立ちっぱなし・・・ 荷物の網棚に載せられ、ハンモックのように揺られながら・・・

風光明媚な、
岬めぐりの風景が、心に残っております。


民族大移動
の、盆・正月の帰省ラッシュも、最近は緩和されてきましたね!

エコノミックJAPANの象徴のようでしたが、そこまでして
帰省するのも
ある意味、日本人の心、
望郷の念でありました。

その昔、高度成長の時代、就職列車で、金の卵として故郷を離れた人々も、高齢化!
世代交代なのでしょうか?


風炎オヤジは、高卒のち、19才から、
焼物修行の旅が始まりした。
修行というくらいですから、厳しく苦しいのは、当然でがんす!

多くの同級生が、進学・就職の道を歩む中、
ワキミチソレタ変人でありました。

最初の倉敷時代の4年間は、盆正月は休みを頂けましたので、帰省しておりました。
友人に会ったりして、結構、忙しかったのう!


沖縄での8年間は、休みがあっても
金が無く、帰省したのは2回だけ・・・
ホームシックもなんのその・・・

に手紙はもちろん、電話もしませんでした。

たまに帰りますと、大酒オヤジが老けて、一回り
小さく感じたものでした。


12年の修行の旅を終え、平成2年、故郷に、工房を開きました。
故郷に住みたくても住めない、今の御時世・・・ ある意味、
贅沢な話ではあります!


周りにいる同級生
は、公務員、農協、自営の後継がほとんどで、
頑張って広島市内の会社に通う者も数名います。

故郷を離れた、多くの同級生は、望郷の念を
秘めて、各地で頑張っている事でしょうなあ〜


ある夏の昼さがり・・・ 甲子園での、熱戦、高校野球!
野球大好きの大酒オヤジと、近所の大工オヤジが、テレビの前で
酔っ払い観戦しておりますた。

大工オヤジは香川県の出身なのですが・・・

広島商業と、鹿児島実業と、丸亀商業・・・ 何処を応援するかで、子供じみた
大ゲンカ
もう、
何十年も広島に住んでおるのに・・・ お互い自分の生まれ故郷を応援しておりました。

挟まれて、風炎コヤジは泣いておりますた。 今頃、天国でも、酔っ払ってケンカしてると思います。
生まれ故郷とは、深いものですのう!


沖縄修行時代の、琉球村の社員食堂での事・・・ 皆さん熱心にTVを観戦しておりました。
沖縄水産と広島商業の、準決勝戦! マズイ事に、広商が勝ってしも〜た!

ワシは、野球はあまり興味ない顔で・・・ 内心、広商を応援しておりましたが・・・
まあ、優良社員でありましたので、
イジメにはあいませんでした。

広島カープは、沖縄コザで
キャンプを張っておりますので、
広島人には、結構、好意的でありました。


♪ うさぎ追いしかの山〜  ♪ こぶな釣りしかの川〜

望郷の念とは、ある世代の、田舎人の、
特権かと思っておりました。
しかし、先日、あるサイトのコラムでの事・・・

都会育ちの若者が、バブル時代の
地上にあい、自宅を手放し、御両親も引っ越されました。
御金からみのトラブルで、血縁も
疎遠になり、人間不信・・・

数年ぶりに、隠れるように訪れましたところ、当時の家はすでに無く、
駐車場になっておりました。
僅かのブロック塀の
残骸に触れて、涙したとの事・・・

望郷の念は、誰にでもあるものだと、考えさせられました。


何故、陶器産地でもない
田舎に帰ってきて、窯を開いたのかと、よく聞かれまする。

継ぐほどの家業があるでなし・・・ 資産があるでなし・・・ 大酒オヤジと、ババと、犬がおるだけ・・・
血統書付きの、遺伝子鑑定済の、
貧乏人!

自分でも、はっきりした理由は、解りません! 特に親孝行を考えた訳でもないし・・・
サケの川登り、ある種の
帰省本能かもしれません!

忙しく過ぎた10年、ふと最近、目に見えないものに、支えられていると感じています。


しっかし、陶芸家の奥さんは
フビンな場合が、多いだす!

風炎カ〜サンの場合、化粧した顔も見たことありませんし、光モノもなく、良い服も買えません。

嫁入りの時、親に買ってもらったスーツで、入学式、卒業式・・・

下腹
が出てきため、昨年、始めて、3万円のスーツを買いました。


結婚して13年の間に、広島から沖縄に帰省したのは、ナント
2回!

実家のオジイも、オバ〜も、工房が忙しいのは、よく御承知で、帰るようには申されませんが・・・
寂しい思いをされていると思います。

度々、
沖縄の産物を送って頂き、有り難う御座います!


カ〜サンと同じく、広島の男にダマサレた、カ〜サンの同級生がおります。

広島市内在住の、彼女の場合は、
毎年、夏休み中、子供と、帰省! ダンナ様の
定年後は、沖縄に住むそうです。

沖縄の場合、正月は、
旧正月で祝う場合が多く、2月初旬です。
今年の冬は、仕事のスケジュールが、空いておりますので、カ〜サンに
帰省を勧めております。


テロ事件で、沖縄への航空便の乗客は
激減しました!
あのショック映像を見たときは、もう沖縄には帰れないのでは・・・ チト、心配でした。

戦乱の時期、朝鮮から連行され、故郷があっても、帰れない
在日韓国人も沢山おられます。
望郷の念とは、根深いもので、今でも沢山の問題が、未解決ですね。

これに、宗教が絡んで、戦争にもなるわけで・・・
難しいのう!


風炎キッズも、やがて
巣立つ時が来ます・・・

彼女らの心の故郷に、いかなる背中を見せているのか! 親子・夫婦・故郷・・・ か!

う〜ん!


PS

風炎オヤジが、焼き物修行を始めた頃は、
民芸ブームでありました。

街角には、民芸調の居酒屋や喫茶店、民芸品店が沢山ありました。
高度成長の時代、故郷をあとにした人々の、
憩いの場になっていたのかもしれません!

風炎オヤジにとって、沖縄は、
第2の故郷であります。
脂っこい琉球料理も、舌に合いましたが、時々、内地の味が恋しくなる事もありました。

そんな時は、広島カープ御用達、コザ、中の町の居酒屋、「かめや」の暖簾を、くぐりました。
古い民家を改造した店でした。
長崎五島からの、
産地直送、空輸した、新鮮な魚は旨かったのう!

風炎オヤジとカ〜サンとの、結納の時にも、仲人様・両親・兄を案内しました。

その店のトイレの、小便器の前の
張り紙を、妙に覚えております!

「東ヤ西ニ、フリカケナ!南タモノガ、北ナガル!」

こんなものでも、立派な、心の故郷で御座います!




 Back      Top