粗品

ガタガタ グルグル

今年は猛暑ですね! 御中元のシーズンになりました。

「陶器屋さんに、陶器の
粗品で、申し訳ありません!」
街の馴染みの電気屋さんDEODEOから時々、粗品を頂戴いたしており、
風炎キッチンの食器棚に、
「ペアカップ」鎮座いたしております。

いわゆる
量産の磁器ですが、時代のニーズ反映しており、
風炎オヤジは、この
「ペアカップ」に、無言の問題を提起されております!

細身の
「面取り」で、一見、陶器っぽい肌合いの艶消しの釉薬。

何といっても
注目してしまうのは「ガタガタ」であります。


倉敷にて
焼き物修行が始まった頃・・・
オヤジの場合、最初の仕事は、窯掃除・土つくり・・・  そして「こいのぼり」の
箸置きでした。

まず、土の感に慣れる為との、配慮を頂いたのですが・・・ 兄弟子いわく、
「とりあえず2000個作って!」 必死で作って1週間程かかった記憶があります。
底面を面取り、
包丁でカットして仕上げました。

土の乾燥具合による固さ、タイミング、刃物の角度・・・ 結構コツがいります。
慣れないうちは、よく
「ガタガタ」になり、よく叱られました。


この様な技法
「面取り」といい、民芸の窯でよく見かけます。
この
「ペアカップ」は、この技法を機械化によって
わざとヘタクソ風に
再現したものでがんす!

土、釉薬の
不純物による斑点も再現!
なんと、
「ガタガタ」までも! う〜ん!

こんなものに
時代のニーズ、時の流れを実感いたします!


平成11年、「台風9号」で
工房裏の松がコケました。
直して頂いた
植木職人さんと、御茶を一服!

「最近は剪定の仕事が減ってしも〜た。」
「昔は
回りに手付かずの自然いっぱいなんで、職人技で刈り込んだ松や盆栽が流行ったもんよのう!」

「今は回りがビルの都会、
人工的なんで、そのまんま自然な木が、似合うけえのう!」

う〜ん! 
なるへそ!


今は昔、日本が
自然豊かだった頃、環境に反して、人の目は何に向かったか?
人工的なもの、整ったもの、技術的なもの、光ったもの、きれいなもの・・・

青白磁器、ガラス、
職人技・・・ 今より違った価値があったのだ!


今日、
壊された自然、人工的な素材が溢れ、環境に反して、人の目は何に向かうのか?
ありのままのもの、歪んだもの、素朴なもの・・・

不揃いの
ヘタクソ陶器の時代か???


先日も、
「陶器屋さんに、陶器の
粗品で、申し訳ありません!」
今度は
「刷毛目模様の皿」でした。

刷毛目とは、刷毛に白土をつけ、回しながら塗り、表面に化粧したものです。
「グルグル」渦巻で、本来は陶器の素朴な装飾技法です。
同じ模様など出来るはずもありません!

この
粗品「刷毛目皿」も、量産の磁器。
またまた、一見、陶器っぽい肌合いの艶消しの釉薬。
よく見ると、
刷毛目は、プリントで数パターンあり、巧妙に、微妙に、変えてあります。
6枚セットでは
バラバラの刷毛目模様。


あの頃はよかったのう!

すぐ解る! プラスチックの、「木目の盆」!
すぐ解る! 型物の、「ロクロ目のある、手作り風、湯呑」!
すぐ解る! プリントの、「ちょっとズレタ、手書風、絵付け磁器」!

時代は
巧妙に進化中・・・


感心するのは、
時代のニーズに合わせた、磁器メーカーの企画力でがんす!

時代に乗り切れない 
「素朴なヘタクソ陶芸家」 の生きる道とは・・・


先日、御客様から
貴重な御意見を頂きました。

「風炎オヤジさんは
最近、上手になり過ぎて、洗練されすぎて・・・」
「以前のような、勢い、味が
薄れてきたみたい・・・」
う〜ん! なるへそ!

誰か教えてつか〜さい!
一生懸命、真面目に努力して、
味のあるヘタクソになる方法を・・・

ひょっとして、最近の物忘れ、ボケの始まりは・・・
味のあるヘタクソ始まりかもしれん!


PS

今年の春、広島を震源とした
M5.5の地震がありました。
作品が多少壊れましたが、
「ガタガタ」「グルグル」たちは、壊れもせず生き残っております!
台風、地震にもまけずに・・・

風炎キッチンの食器棚に
鎮座して、何かをオヤジに語っております!




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