倉敷中央病院
南口・保存洋館 | 温室・噴水 | 通路 |
倉敷修行時代の師匠が体調を崩され、お見舞いに倉敷中央病院を訪れました。
先日、広島での個展に、わざわざ御出で下さった時は、お元気そうでしたのに・・・
お世話になった兄弟子も、犬に手を噛まれ、通院されておりました。
こちらの病院は古く、大正14年の開院、レトロチックでありました。
増築を重ね、通路は迷路のようでありました。
しかし、近代的な病院にはない、ほのぼのとした暖かさがありました。
こんな古びた病院に入院したいものだと、妙に気に入ってしまいました。
南口には、当時の古い洋館が二棟、保存してあり、時々学生たちのイベント等に開放!
また開院当時からある、ガラス張り、高天井の温室。手入れされた木々と溢れる木漏れ日・・・
壁や床は煉瓦づくり。 中央の、石づくりの丸い池には、噴水があり、水の打たれる音・・・
ベンチに憩う人々の心は、健康になれそうな気分にさせられます。
そこからの長い通路は、漆喰の低いアーチ天井で、両サイドに小さな絵付けタイルが飾られ、
広い空間から、細長い通路への対比が、実に巧妙。
中心には、自然光の降り注ぐ、古い煉瓦づくりの広いカフェテラス、漂うコーヒーのかほり・・・
各所に作家の作品が、さり気なく飾られており、
作者名や題名、寄贈などの表示は見る限りありませんでした。
開院当時の資料を集めたギャラリーも設置されておりました。
都会の小さな公園は、回りの環境に負けて、寂しい気分にさせられますが・・・
この病院の前身は、クラボウの創始者で、大原美術館を作られた、
大原孫三郎氏が作られた病院だと、伺いました。
いわゆる、優秀な企業メセナと、いわれるものでしょうか。
以下、祝開院の当時の新聞記事の抜粋。
*病院の芸術化・別荘かホテルの如く、病院に在る感なし!
*病院の中の楽園・ガラス張り屋根の大花園!
*平等無差別の病室・等級を一切設けぬ!
この病院の根底に流れる理念が、倉敷美観地区や行政に受け継がれて
今の、人が集う、素晴らしい倉敷があるのですね。
師匠、兄弟子、奥様たちと、つかの間の、昔話をさせて頂きました。
こちらの街で、修行させて頂いた、風炎オヤジも恩恵を受けているんだなあ。
IT革命、人の目は新しいものに向かい、時代を変えてゆきます。
先日、買ったパソコンが、ボーナス一括の支払いも、、終わってないのに
もう旧モデルになってしもーたしのう! 何となく不幸!
ほんじゃが、古びたものに価値があるという事は、ええのう! 何となく幸福!
風炎工房から生まれた陶器が、時の流れというシャワーを浴びて、
ほのぼの暖かい幸福に包まれますように・・・
などと、のたまう風炎オヤジは、真のオヤジに、なったという事なんじゃろうのう!
古びた想い出に感謝して、何よりも、師匠、兄弟子の早期全快を
心より、お祈りいたしております。
PS
修行時代の工房の近くにクラレの古びた紡績工場があり
長い赤煉瓦の塀沿いの道を、よくチャリンコで通りました。
当時、塀の上には鉄縄網があり、しかも内側に傾斜しており、刑務所のようでした。
メセナの陰に搾取あり! 悲しき女工哀史!