名勝 吉水園
吉水亭 | 茶席からの風景 | モリアオガエル |
広島といえば負の遺産、原爆ドームと宮島の二つの世界遺産があり、
宮島の、潮の満ち引きを景観に取り入れた、センスにはロマンを感じます。
風炎窯のある小さな加計町は過疎化の進む中間山地で、特に観光地でもありませんが
オヤジの好きな小さな名勝、吉水園があります。
江戸時代半ば(1781)天明元年から約3年程で、ほぼ現在の形となり
以後、京都の庭師により3度の改修が行われた記録があります。
地元に生まれながら、初めて入園したのは、高校卒業記念写真の撮影のためでした。
名前は聞いていましたが、小さな街の、小さな商店街の、小さな裏山に
大したものが、あるはずも無いと、さほど気にもしていませんでした。
入ってみると、やはり小さな入口、小さな庭園、小さな茶室でありました。
それなりに、ひなびた雰囲気、木陰の湿った空気、小さな池を廻る小道、心落ち着くものでした。
若き日のオヤジを愕然とさせたのは、2畳程の高座の茶席からの風景でした。
なんという構図、バランス、小さな庭園を前景として、山なみを蛇行しながら、下流へ向かう太田川・・・
池や木々の配置も借景とのバランスを意図した事は明らかです。
今ではダムの為、水量が減っていますが、昔は材木をイカダで広島市まで流す程の水量で
とうとうと流れる太田川との風景は、さぞ美しいものであったと想います。
池にはモリアオガエルが生息しており、5月から7月にかけての産卵期には
池の上に張り出した枝に、白い泡状の巣を作り、産卵します。
このモリアオガエルは加計町のマスコットキャラクターであり
風炎作品にも時々登場いたします。
この庭園の設計者が、ここにモリアオガエルが棲みつき天然記念物になる事を
計算していたかどうかは解りません!
ただ一番大事なポイントに、風炎窯がお邪魔する事を、計算していなかった事は明らかです。
というのも、茶室からの眺めの一番いい所の、一番ど真ん中に風炎窯が見えるのです。
不思議なめぐりあわせ、時の流れに想いを馳せております。
吉水園は通常は入園できません。
6月第2土・日曜日、11月第2土・日曜日が一般公開日となっております。
小さな庭園とカエルを見る為に、毎回3000人以上の来園者があり、リピートも多いです。
PS
卒業写真の、オチコボレ学生が
今のヘンコツ風炎オヤジを想像できなかった事は明らかです。